短時間で集中豪雨をもたらす「線状降水帯」の予測情報が、九州・山口に15、18日に相次いで発表された。気象庁が6月に予測情報を半日ほど前に発表する運用を始めてから初のケース。「精度は高くない」と認める同庁も、住民避難の準備などに生かす想定の自治体側も、手探りが続いた。
九州・山口では15日以降、中国大陸から東日本にのびた前線に向かって流れ込む暖かく湿った空気や上空の寒気の影響で、大気の状態が非常に不安定になり各地で大雨が降った。
こうした気象状況を受け、気象庁は15日午前10時半、山口を含む九州北部と南部に「15日夜から16日午前中にかけて線状降水帯が発生して、大雨災害の危険度が急激に高まる可能性がある」とし、線状降水帯の半日前予測を初めて発表した。
福岡管区気象台は発表直後の臨時会見で「線状降水帯が発生すると予想雨量以上の大雨になるおそれがある。事前の心構えを一段高めてください」と強調。住民にハザードマップや避難経路の確認、自治体に避難所開設手順などの確認を呼びかけたが、結果的に線状降水帯は発生しなかった。
一方、18日午後3時過ぎ、気象庁が予測情報を発表しなかった長崎で線状降水帯が発生。直後の同日午後4時46分、同庁は再び山口と九州北部・南部に19日午前にかけての予測情報を発表した。その後、18日深夜から19日未明にかけて、山口、福岡、佐賀、大分で相次いで線状降水帯が発生した。
福岡管区気象台の担当者は一連の予測について、「大雨が降るという状況はある程度『シナリオ通り』だったが、気象状況の変化は激しく、線状降水帯がいつどこで発生するか予測の難しさを改めて感じた」とした。
気象庁の長谷川直之長官は20日の定例会見で、予測した地方で実際に発生する的中率は4分の1程度とする精度について「向上に努めたい」とした上で「(予測が)空振りかもしれないと言って油断するのではなく、情報が出たときには早めの対応をお願いしたい」と改めて注意を呼びかけた。
予測情報の発表について、避…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル